学生講義評価
『物性物理学 IA』（東京大学大学院、平成20年度）
『物性物理学 IA』（東京大学大学院、平成20年度）- とても面白い授業で、固体物理の基礎がしっかりと身についた。単に式を導出するだけではなく、その物理的な意味は何か、計算をすることなく直感的に導けないかを常に考えさせることは大変良いことだと思う。レジュメもしっかりしているので講義ではレジュメを読めばわかるような内容の解説に割く時間は削って、深い内容や最近のトピックスとの関連などに触れて欲しい。講義は毎回楽しかったので、途中で続けて休講になったのは残念だった。休んだ分は補講してほしい。前回と間隔があくと内容を忘れてしまったり、つながりが良くなかったりするので、東大もアメリカの大学のように一つの講義で週２コマ使うなどすべきだと思う。レポートはとても勉強になるので、毎回出すべきであると思う。レポート問題にしなくても「次回までにこれを考えておくこと」と宿題的なものを活用すると良いと思う。内容では量子ホール効果の説明がよかったと思う。今まで勉強してあやふやだったところがすっきりと理解できた。機会があれば分数量子ホール効果のお話なども聞きたい。英語・日本語のハイブリッド授業だったので、英語の勉強にもなった。文法や単語は調べればすむのだが、一番難しいのはやはり「文法的に間違いではないが、そういう言い方はしない」という類のものだと思う。「なるほどそういう表現をするのか」と授業中に何度か思いためになった。
- Frankly speaking, I am fond of this course! Since I think I did met such a good professor who could tell student something complicated in quite concise and clear way. Actually in physics the most important thing is to understand the basic concepts, which are always in simple concise but elegant form. Sometimes the simplest may be the hardest underlying the most profound truth. Also I appreciate that you were doing quite a good job when you often told us to think one more time whether it is reasonable before we accept a conclusion. This is the right way to learn. It is always difficult of attainment for one to stick to one's own idea when confronting the pressure from authorities, or in another word, to be confident. As the only foreign student in class, maybe it is not unfair to force other Japanese student to listen to lectures in English. However, I have to say that your English is easy to understand, and one of my Japanese friends who also took this course said so. To my opinion language itself as the same as the capability of mathematics though maybe the latter is more important for people who learn science, however, one has to communicate with others through talking, gather information by reading, and express own thoughts whatever it is by writing, for all of which one has to make sense in order to let other understand more easily. That is why I am studying Japanes so hard, just as to communicate with others more conveniently since I am now living in Japan. For the assignment, somehow I prefer the form of report instead of talking test(maybe I took too many tests). After tests, I will forget everything I learn, but writing a report forces me to review the thing I have learned and search for contents I need to investigate. The whole process is a combination of new discovery and re-learning. In one word, I was happy to take this course!
- この講義には全体的に満足している。物性物理学の基礎を非常にわかりやすく、かつ各トピックの関連性を明確に教えていただいたおかげで、今までの知識がつながり物理的意味が深く理解でき、物理的なイメージが頭に残った。次回のテキストを先に配り予習を前提に講義を行い生徒の質問を促すというスタイルは合理的で学力のつく進め方だった。また先生の熱意が伝わってきたし、各国の研究者の状況が国際会議などの話は我々にとっていい刺激になった。授業ではやや専門的な内容を取り入れてくれたが、興味深いのでもう少し専門の話を聞きたいと思った。
- ポイントや本質を強調して話されるのが心地よかった。基礎的なことからアドバンスなことまで、幅広いレベルの話題が出てきて、理解できなかったこともあったが大事なポイントはおさえてくれたので分かったような気になれた。ただ、分数量子ホール効果の説明は時間がなかったのか中途半端な気がした。もう少し詳しい話を聞いてみたい。授業の内容とは関係がないが、上田先生はとても目を輝かせて語ってくれるので毎回モチベーションが上がった。
- 物性物理を古典論から量子論まで詳しく学べた。まだまだ力不足で授業についてゆくのが大変だと思った。しかし先生の物理に対する熱意と授業の合間の話に励まされ、もっと物理を知りたいという気持ちになった。
- 講義の内容は基本から発展まで広範囲にわたっていてちょうど良かった。特にフェルミ流体では考え方に重点を置いた内容でとても良かった。数式を追うのではなく、何が重要なのか、何がポイントなのかが明確にわかった。また、レジュメがあり、後で見返す時に非常に役に立った。基本的な内容はもう少し早く進んでも良いように思う。
- レポートの量がすさまじく、寝るひまもなかった（外国の学生がこれ以上にやっているとは信じがたい）。授業は英語がきつかった。あんなにスラスラ英語が出てくるのは羨ましい。量子ホール効果やフェルミ流体などのトピックスをあつかっていただいたのは勉強になった。自分がいかに物性をわかっていなかったかがわかった。ただそれを考えてもラフリンの論文の要約や電気伝導の導出はレベルが高いように思う。
- 授業は、内容的にはそれほど高度ではなかったものの、理論の本質を突くテーマが多く、非常に刺激的だった。授業の進め方も一方的ではなく、学生との対話を重要視したもので、非常に楽しめた（眠くなったことはない）。このような刺激的な講義にはなかなか巡り会えないと強く感じる。
- 授業の始めの雑談はおもしろかった。もっと海外に目をむけなければと思った。ただ計算に没頭するだけではなく、物理的意味を頻繁に説いていて分かりやすかった。
- ストーリーがとても楽しかった。式が英語が苦手でなければもっと楽しめるのだろうと刺激になった。レポート問題は出題された時に解くべきだったと反省。分数量子ホール効果やBCSのお話が特に印象的だった。
- この講義は私の半期の墓で最も有意義な時間だった。教科書には書いていないような物理的な直観（洞察）などが聞けて勉強になった。個人的には最初の Drude Sommerfeld の理論は早く切り上げて、最後の Fermi 流体論 のお話を聞きたかったが、全体としては良い授業だったと思う。
- "基本的なことからおもしろさを発見する"ということを教わった。
- 授業ノートが配られているので先生のお話を聞くことに集中できた。時々、先生の英語がわからないときがあったが、直後に日本語でフォローを入れてくれたので大まかながら内容を理解することができた。配られたノートに少し書き込みをしたいときに余白があれば書き込みやすいように思う（ルーズリーフなどの活用をすればよい話ではあるが）。
- 授業は基礎的なことをわかりやすく説明してくださったので非常におもしろかった。英語での授業も新鮮で勉強にも力が入った。来年は留学生がいなくても英語で授業をされると面白いのではと思う。レポート問題は少し難しかったように感じる。ヒントやとりかかりの部分を教えて頂けると問題が解きやすいと思う。
- 自分が今までいかに考えてこなかったかを痛感するともに、非常に楽しく勉強することが出来た。特に一般的なことで印象に残っていることは、結果を再考察するということの重要性だ。繰り返しそのことをおっしゃっていたように思うのだが、この答えにそんな意味があったのかと気付かされることがほとんどだった。また講義ノートを事前にくばってくださったことは非常に助かった。
- 東工大時代の３科目（統計力学２、量子力学各論１、多体系の量子力学）を含めて、上田先生の講義をきくのは４科目目だったが、どの講義においても上田先生の一流の物理の見方が提示されていて非常にためになった。シラバスでは、アシュクロフト・マーミンのレベルでというように書かれていたが、私としては、アシュクロフト・マーミンからはずれた量子ホール効果のような講義後半の advanced な話題の方が印象深かった。修士の学生がいることを考えると最初から講義後半のレベルの話をするのは難しいかもしれないが、「日本語」であれば、講義前半をもう少し飛ばしても学生はついてゆけるのではないかと思う。また、講義の最終章のフェルミ流体論は、「多体系の量子力学」で既習ではあったが、今回自分がフェルミ気体を扱う立場になり、問題意識を新たにして講義を受け直すことができた。講義後の質問でも述べたが、相互作用がある場合のフェルミエネルギーの決め方（Luttinger の定理）の妥当性のような問題が、自分の研究にこれほど関わってくるとは、学部４年で「多体系の量子力学」を受講した時には全く想像していなかった。